TCFD・TNFD提言への取組み

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2025年9月現在

当社グループは、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言」への賛同を表明し、マテリアリティの一つとして「環境保全対応」を特定しています。さらに、自然資本の劣化や生物多様性の損失が、地域社会やお客さま、当社グループの重要課題であるとの認識のもと、2024年5月には「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」の趣旨に賛同、TNFDフォーラムへ参画しています。これからも環境保全対応の取組みを強化するとともに、気候変動や自然資本・生物多様性に関する情報開示の充実に努めていきます。

2025年度の気候変動・自然関連の情報開示について

2025年度の開示においては、気候変動だけでなく、自然資本や生物多様性の重要性をより一層認識し、2024年5月にTNFDの趣旨に賛同、TNFDフォーラムに参画したことを踏まえた内容としています。具体的には、TNFDの開示フレームワークも考慮し、当社グループと自然資本の関わりや、自然資本への依存・影響に関する視点を追加しました。

また、TCFDとTNFDの開示フレームワークには共通している項目も多く、統合的なアプローチを取ることで、より整合性の取れた情報開示が可能となることから、下記のような形で整理・公表しています。

今後もTCFDおよびTNFD提言を踏まえた情報開示の充実に努めていきます。

ガバナンス

ガバナンスについては、「サステナビリティ推進体制」をご参照ください。

戦略

気候変動に関連するリスクと機会

当社グループでは、気候変動に関連する機会とリスクを分析しています。分析においては、短期・中期・長期の時間軸を設定しています。不確実性の高い気候変動の影響を捉えるため、IEA(国際エネルギー機関)の1.5℃シナリオ(NZEシナリオ)とIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の4℃シナリオ(RCP8.5シナリオ)を用いて影響の程度を大・中・小に分類し、各機会とリスクの影響度の把握に努めています。また、把握した各機会とリスクに対し、サステナビリティ方針に基づいた取組みを行っています。

機会・リスクの分類

内容

リスクのカテゴリ

シナリオ影響の程度

時間軸
短期:2028年
中期:2030年
長期:2050年

当社グループの取組み

1.5℃

4℃超







政策と

法規制

炭素税の導入に伴うコスト増加などによる取引先の事業活動への影響

信用リスク

短期~長期

当社グループの営業基盤である愛知県の主要産業である自動車産業をはじめとした製造業の投融資先とのエンゲージメント強化や脱炭素化支援推進

市場

脱炭素社会への移行に伴う原材料価格の上昇による取引先の事業活動への影響

信用リスク

短期~長期

脱炭素社会への移行の影響を受ける産業に関連する保有有価証券などの価値の変動

市場リスク

短期~長期

評判

気候変動や環境保全への適切な対応・開示の遅れによる企業価値の低下

オペレーショナルリスク

短期~長期

・社会的要請などへの適切な対応
・非財務情報開示の充実






急性

台風や洪水などの気象現象の深刻化による取引先の事業活動への影響や担保資産の価値棄損

信用リスク

短期~長期

投融資先および当社グループに及ぼす影響額の算定

台風や洪水などの気象現象の深刻化による当社グループの営業拠点の被災

オペレーショナルリスク

短期~長期

当社グループの防災・BCP対策の実施

台風や洪水などの気象現象により取引先の資金繰りが悪化し、当社グループの預金が流出

流動性リスク

短期~長期

投融資先へ物理的リスクの啓蒙、BCP対策の啓発

慢性

平均気温の上昇、海面上昇による取引先の事業活動への影響や担保資産の価値棄損

信用リスク

長期

投融資先へ物理的リスクの啓蒙、BCP対策の啓発


製品・サービス

環境保全への取組みを行う取引先に対し、ESGファイナンスを含む設備投資などの資金需要増加に対する金融仲介機能の発揮

短期~長期

・投融資先への脱炭素への取組啓発
・投融資先への脱炭素化支援の推進
・サステナブルファイナンスの拡大
・投融資先への補助金支援

脱炭素化・環境保全への対応に課題を抱える取引先に対するコンサルティング機能の発揮

短期~長期

資産効率

省エネルギー・再生エネルギー・新技術の活用による事業コストの低下

短期~長期

当社グループの新店舗などのZEB化、省エネ化促進

強靭性

気候変動や環境保全への適切な対応・開示に伴う企業価値の向上

短期~長期

非財務情報開示の充実

シナリオ分析

気候変動リスクが当社グループに及ぼす影響を把握することを目的に、移行リスクおよび物理的リスクについてシナリオ分析を実施しています。
シナリオ分析の結果は、一定の前提条件の下で試算しています。今回の前提条件での試算では、当社グループへの影響は限定的なものとなりましたが、分析手法を含む前提条件については、今後も継続的に見直しを検討し精緻化に努めていきます。

移行リスク

移行リスクの分析対象として、TCFD提言で気候変動の影響を受けやすいとされている業種から、当社グループにおいて移行リスクの影響が大きいと考えられる「電力セクター」「自動車セクター」「不動産セクター」を選定しました。分析の詳細は以下の通りです。

対象セクター 電力セクター・自動車セクター・不動産セクター
選定
理由
電力
セクター
電力セクターのGHG排出量はセクター別でみた日本の排出量の約40%を占めているため
自動車
セクター
当社グループの営業エリアである愛知県における主要産業のため
不動産
セクター

あいち銀行の総貸出残高に対する不動産業の融資残高の占める割合が高いため

シナリオ IEAの1.5℃シナリオ
分析内容 炭素税の導入による費用増加が財務内容に与える影響を分析
対象期間 2025年3月末基準とし、2050年までを対象期間として試算
分析結果 与信コストへの影響額について、単年度53億円程度の増加(2025年3月末基準)

物理的リスク

IPCCの4℃シナリオを参考に、洪水発生頻度の上昇を想定したうえで、浸水が想定される当社グループの営業拠点(ハザードマップ参照)の取引先の不動産担保毀損が与信コストに与える影響を分析しました。分析の詳細は以下の通りです。

シナリオ IPCCの4℃シナリオを参考
分析内容

洪水発生頻度の上昇を想定したうえで、浸水が想定される当社グループの営業拠点(ハザードマップ参照)の取引先の不動産担保毀損が与信コストに与える影響を分析

分析対象 水害、事業性与信を対象に試算
対象期間 2025年3月末基準とし、2050年までを対象期間として試算
分析結果 与信コストへの影響額について、累計12億円程度の増加(2025年3月末基準)

気候変動に関連する機会

お客さまの脱炭素化支援

企業の脱炭素への取組みは、GHG排出量を①知る、②測る、③減らす、の3つのステップで進めています。
当社グループでは、各ステップにおいてお客さまへの支援体制を整え、脱炭素化を支援しています。

脱炭素化に資するファイナンス提供

お客さまの脱炭素化に向けた資金需要に対応するため、あいち銀行ではさまざまな融資商品を提供しています。

サステナビリティ・リンク・ローン

国際的な指針である「サステナビリティ・リンク・ローン原則」に基づいたSDGsやESGに関連した目標(サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット:SPTs)を設定し、SPTs達成状況に基づき金利のインセンティブを受けることができる融資商品です。
脱炭素化に向けた目標を貸付条件と連動させることで目標達成への動機付けとなり、お客さまの脱炭素経営の促進に貢献しています。

73億円

サステナ経営応援ローン

SDGsやESGに関連する経営目標(所定項目の中から1項目を選択)を設定し、経営目標達成状況に基づき金利のインセンティブを受けることができる融資商品です。
経営目標にGHG(温室効果ガス)排出量を設定することにより、お客さまの脱炭素化に向けた取組みの促進に貢献しています。

1,153億円

ポジティブ・インパクト・ファイナンス

国際的な金融原則の枠組みに沿った融資商品で、お客さまの企業活動が環境・社会・経済に及ぼす影響を包括的に分析・評価(以下、「インパクト評価」)します。インパクト評価により特定されたポジティブな影響の増大とネガティブな影響の低減に向けた取組みに対して、目標(以下、「KPI」)を設定し、モニタリングを実施することで、当該取組みを継続的に支援します。

90億円

グリーンローン

環境改善を目的とする事業(グリーンプロジェクト)に資金使途が限定される融資商品です。実行後の資金の追跡管理およびレポーティングによる資金使途の透明性確保を通じて、お客さまの環境に配慮した事業活動を支援します。

64億円

グリーンボンドなどの脱炭素に資する投資

企業や地方自治体などが、環境に配慮した事業(グリーンプロジェクト)に資金を投じるために発行されるグリーンボンドや、脱炭素社会移行(トランジション)のための資金調達を目的として発行されるトランジションボンド、脱炭素社会の実現に向けて企業が設定した目標の達成状況に応じて条件等が変動するサステナビリティ・リンク・ボンドへの投資を通じて、社会の脱炭素化への取組みに貢献しています。

337億円

  • 金額は2022年4月からの取組累計額

協働による脱炭素の取組み

企業や官公庁などとの協働により、社会の脱炭素化に貢献しています。

省エネ・地域パートナーシップへの参加

地域で中小企業などの省エネを支援するため、経済産業省資源エネルギー庁が立ち上げた枠組み「省エネ・地域パートナーシップ」にパートナー機関として参加しました。経済産業省資源エネルギー庁および省エネ・地域パートナーシップ事務局と、中小企業の身近な相談先であるパートナー機関などとの間で、省エネ政策・取組みなどに関する各種情報の提供や交換を行いながら、中小企業の省エネ支援を実践しています。

合同の自動車サプライヤー向けセミナーの開催

あいち銀行では、百五銀行、三菱UFJ銀行とともに、自動車サプライヤー向けセミナーとして「自動車業界の“今”とカーボンニュートラルの実現に向けた“未来”への取り組み」を開催しました。自動車サプライヤーの取引先企業を対象に、自動車業界の最新動向を伝えるとともに、カーボンニュートラルへの取組事例をご紹介しました。

脱炭素経営セミナー豊橋の共催

リコージャパン株式会社、三井住友信託銀行とともに「脱炭素経営セミナー豊橋」を開催しました。
脱炭素に関心を持つ地域の企業を対象に、2050年に向けた脱炭素社会の具体的な設計と実装について、実践事例を交えてご紹介しました。

西尾市、東邦ガス株式会社、株式会社バイウィルとの連携協定の締結

あいち銀行では、西尾市、東邦ガス株式会社、株式会社バイウィルと「カーボンニュートラルの実現に向けた取組に関する連携協定」を締結しました。本協定は、家庭用燃料電池システムや太陽光発電システムの導入、LED化や水稲栽培による温室効果ガスの削減効果をJ-クレジットに換え、それを有効利用することで、西尾市のカーボンニュートラルに向けた取組みを加速させることを目的とするものです。それぞれが持つ知見やノウハウを活用して相互に連携・協力することにより、西尾市の2050年カーボンニュートラル実現に向けた取組みを推進していきます。

蒲郡市および株式会社バイウィルとの連携協定の締結

あいち銀行では、蒲郡市、株式会社バイウィルとゼロカーボンシティの実現に向けた連携協定を締結しました。本協定は、3者がJ-クレジットをはじめとした各種環境価値に関する情報共有や事業の推進等を通じて相互の連携を強化し、地域におけるカーボンニュートラルおよびサーキュラーエコノミーの実現に寄与することを目的とするものです。相互の連携を強化し、蒲郡市におけるカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取組みを推進していきます。

自然資本との関係性

愛知県の自然の状況

近年、持続可能な社会を実現するために、気候変動への対応に加え、自然資本・生物多様性の適切な保全に対する重要性が高まっています。当社グループの事業基盤である愛知県は、山地帯の奥山生態系、丘陵地の里地里山生態系、農地や都市のひろがる平野生態系、海辺の藻場や干潟といった里海・沿岸生態系、河川・水辺生態系、湿地湿原生態系といった多種多様な生態系が存在する地域です。また、県内では、動物約12,450種、植物約4,490種が確認され、うち動物364種、植物529種が絶滅のおそれがあると評価されています。※愛知県 あいち生物多様性戦略2030(概要版)より

当社グループでは、マテリアリティに「環境保全対応」を掲げており、愛知県を事業基盤とする地域金融機関として、県内の自然資本・生物多様性の保全に取り組んでいくことは不可欠と認識しています。TNFDフォーラムへの参画により、自然資本・生物多様性の適切な保全に関する取組みを推進することで、地域の持続可能な環境・社会の実現を目指してまいります。

あいちFGの事業基盤である愛知県の自然の状況

企業と自然資本のつながり

TNFD提言ではLEAPアプローチに基づいて、自社の事業活動に関する自然資本への「依存」や「影響」を把握し、リスクや機会を特定し開示することが推奨されています。

企業の事業活動は、原材料の調達・製造・輸送・販売・廃棄などのバリューチェーン全体で、自然資本に依存し、影響を及ぼしています。当社グループを含む金融機関は、自社の事業活動において自然資本に依存し、影響を与えるだけでなく、投融資を通じ、取引先の事業活動とのつながりを持っています。そのため、金融機関は、お客さまの自然資本への依存や影響を把握し、適切なリスク管理を行う必要があり、また、自然資本に関連するビジネス機会につなげることができると考えています。

LEAPアプローチに基づく取組状況

LEAPアプローチは、自然への配慮を企業のバリューチェーンや金融機関などのポートフォリオのリスク管理プロセスに組み込むための実践的なガイダンスです。

当社グループでは、LEAPアプローチに基づき、「①発見する」における自然資本との接点の把握、「②診断する」における依存関係と影響の特定、依存度・影響度の分析を行いました。

2025年度以降、「③評価する」に該当するリスクと機会の特定・評価を進めるとともに、分析の高度化・開示の充実を図っていきます。

LEAPアプローチ

  • 自然資本との接点の把握
  • 優先地域の特定
  • セクターの特定
  • 依存関係と影響の特定
  • 依存度の分析
  • 影響度の分析
  • リスクと機会の特定
  • リスクと機会の重要性評価
  • リスクの低減/管理
  • 戦略とリソース配分
  • パフォーマンス測定
  • 報告/公表

ENCORE分析の結果

当社グループでは、TNFD提言で推奨されているセクターや地理情報に基づいて自然への依存や影響の大きさを把握するツールである「ENCORE」を活用し、自社の事業活動と自然資本の依存関係・影響について分析を行いました。ENCORE分析の結果、「依存」については、多くのセクターの企業活動が「水」に依存していることが示され、「影響」については、多くのセクターの企業活動において、「撹乱(騒音・光害)」、「有害土壌・水質汚染物質の排出」に対する影響が大きいことが示されました。また、セクター別で見ると、特に「素材」と「食品・飲料」が自然資本に依存し、影響を与えている結果となりました。
今後、分析の高度化および分析結果を踏まえ、投融資残高や地域における重要性などを考慮のうえ、重点セクターの特定などの分析を進めていきます。

自社拠点の依存・影響の分析

TNFD提言では、企業に対して自社が直接操業する拠点が自然資本関連の重要な地域であるかどうか特定し、自然関連の依存と影響、リスクと機会を特定し、評価、優先順位付け、モニタリングすることを求めています。

当社グループでは、自然資本に影響を与えている可能性のある自社拠点を把握するため、当社グループの拠点が最も多い愛知県名古屋市内の店舗について、名古屋市環境局が公表している「生物多様性重要エリアマップ」を活用し、生物多様性保全上の重要なエリアとの接点を調査しました。

その結果、庄内川の河川沿岸、大高緑地周辺など、名古屋市内の16店舗の近隣に希少種が生息・生育しているなど生物多様性保全上の重要なエリアが存在していることを確認しました。

今後、自社のオペレーションが生物多様性に与える影響の大きさや、自然資本との依存と影響の分析を検討していきます。

生物多様性重要エリアマップ

  • 生物多様性重要エリアマップ

    出典:名古屋市内の「生物多様性重要エリアマップ」(名古屋市環境局なごや生物多様性センター)

当社グループの自然資本・生物多様性への取組み

当社グループでは、地域の自然資本・生物多様性の適切な保全を図るため、さまざまな取組みを実施しています。

「あいち生物多様性企業認証制度」の認証取得

あいち銀行では、愛知県より「あいち生物多様性認証企業」に認証されました。愛知県では、「あいち生物多様性戦略2030」に基づき、各地域において、企業、大学、環境保全団体、行政などの多様な主体の連携による生物多様性保全に関する取組みを推進しています。企業の生物多様性保全に関する取組みを促進するため、本制度を通じて優れた取組みを実践している企業を愛知県が認証し、取組意欲の醸成と他企業への波及を図り、優良な取組みが県内に広がることを目指しています。

海洋生物の生態環境や保護活動に関する勉強会

海洋生物の生態環境や保護活動についての知見を深める勉強会を開催しました。南知多ビーチランドの職員を講師に迎え、生態環境の保護について行員が考える機会を創出しました。

リスク管理

リスク管理プロセス

  • 当社グループの直面するリスクに関しては、リスクの種類毎に評価したリスクを総体的に当社グループの経営体力と比較・対照していく自己管理型のリスク管理である「統合的リスク管理」を行うことで、経営の健全性を確保しています。
  • 気候変動リスクは、事業活動や財務内容に影響を及ぼす可能性があることを認識のうえ管理していきます。具体的には、気候変動がもたらす当社グループ取引先の事業活動への影響および業況の変化などによる信用リスクや当社グループ営業拠点の被災などによるオペレーショナルリスクを中心に管理し、必要に応じて各種対策を講じていきます。

気候変動に関連するリスク

  • 当社グループでは、気候変動に関するリスクを「信用リスク」、「市場リスク」、「流動性リスク」、「オペレーショナルリスク」の4つに整理しています。気候変動により生じる可能性のある移行リスクおよび物理的リスクの事例は以下の通りです。
リスク分類定義移行リスクの事例物理的リスクの事例

時間軸
短期:2028年
中期:2030年
長期:2050年

信用リスク 信用供与先の財務状況の悪化などにより、資産の価値が減少ないし消失し、当社グループが損失を被るリスク 政策、規制、顧客の要請、技術開発の変化に対応できないことによる取引先の事業活動や財務への影響 異常気象による顧客資産への直接的な損害や、サプライチェーンへの間接的な影響に伴う、顧客の事業や財務への波及 短期~長期
市場リスク 金利、有価証券などの価格、為替などの様々な市場のリスク・ファクターの変動により、保有する資産・負債の価値が変動し当社グループが損失を被るリスク、および資産・負債から生み出される収益が変動し当社グループが損失を被るリスク 脱炭素社会への移行の影響を受ける産業に関連する保有有価証券の価値の変動 異常気象の影響による市場の混乱、それに伴う保有有価証券の価値の変動 短期~長期
流動性リスク 運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出により、必要な資金確保が困難になる、また通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク、市場の混乱などにより市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引が余儀なくされることにより損失を被るリスク 脱炭素社会への移行への対応の遅れに伴うレピュテーションの低下による市場調達環境の悪化 異常気象で被災した取引先の復旧・復興に向けた預金引出に伴う資金流出の増加 短期~長期

オペレーショナルリスク

内部プロセス、役職員の行動が不適切であること、もしくはシステムが正しく機能しないこと、または外生的事象により、直接的または間接的に当社グループが損失を被るリスク 脱炭素社会への移行への対応の遅れに伴うレピュテーションの悪化 異常気象による被災に伴う営業拠点やデータセンターにおける業務の中断 短期~長期

GHG排出量(Scope1・2)

  • 当社グループのGHG排出量(Scope1・2)については、当初「2030年度のGHG排出量を2013年度比70%削減し、2050年度までのカーボンニュートラルを目指す」ことを目標に掲げていました。しかし、GHG排出量の削減に向けた取組みを進めた結果、2025年2月に目標の上方修正を行い、「2030年度までにカーボンニュートラルを達成する」としています。以下のロードマップのように取組みを進めることで、2030年度までのカーボンニュートラル達成を目指します。
  • また、2023年度までは合併前の愛知銀行、中京銀行のGHG排出量のみを算定範囲としていましたが、2024年度より算定範囲を当社グループの連結子会社まで拡大しました。これに伴い、今年度より、基準年度の2013年度および2018~2023年度のGHG排出量についても、連結子会社のGHG排出量を合算した数値としています。

カーボンニュートラルに向けたロードマップ

  • 2024年度GHG排出量実績の2023年度から増加要因は、Scope2(電力)の算定で使用している排出係数が昨年度より引き上げられたことによるものです。

GHG排出量(Scope3)

  • GHG排出量(Scope3)については、2023年度よりこれまでのカテゴリ6・7の算定に加え、Scope3のカテゴリ1~5および15についても算定しています。
  • 今後も算定範囲の拡大や算定方法の高度化を進めていきます。

2024年度 GHG排出量(Scope3)

(単位:t-CO2

算定項目2024年度主な算定内容・算定方法
Scope3カテゴリ1 購入した製品・サービス 19,121
  • 通帳、カード、事務用品、修繕代、メンテナンス代など
パーセフォニ社の炭素会計プラットフォームを活用し算定
カテゴリ2 資本財 4,373
  • 建物、動産、ソフトウエア
カテゴリ3 Scope1・2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 1,121
  • Scope1・2に含まれない電力
カテゴリ4 輸送・配送(上流) 2,249
  • 行内メール便、郵便代など
カテゴリ5 事業活動から出る廃棄物 22
  • 産業廃棄物、雑誌、新聞など
カテゴリ6 出張 448
  • 算出方法:GHG排出量=Σ(従業員数×排出原単位)
カテゴリ7 雇用者の通勤 1,009
  • 算出方法:GHG排出量=Σ(従業員数×営業日数×排出原単位)
カテゴリ15 事業性融資
上場株式・社債
9,191,858
4,070,517
  • 詳細後述
Scope3 合計 13,294,910
  • Scope3のうち、カテゴリ8,9,10,11,12,13,14の該当はありません。
  • 2024年度のGHG排出量については、第三者検証を受けています。
  • Scope3の算定対象は、あいち銀行のみとなっています。

炭素関連資産

TCFD提言が開示を推奨する炭素関連資産について、セクター毎の融資残高および全セクターに占める割合は、以下の通りです。

融資残高に占める炭素関連資産の割合(2025年3月末)

セクター融資残高
(百万円)
シェア
エネルギー 石油・ガス 28,724 1.00% 2.82%
石炭 224 0.01%
電力・ユーティリティ 51,902 1.81%
運輸 航空貨物 2,505 0.09% 9.48%
旅客空輸 799 0.03%
海上輸送 3,864 0.13%
鉄道輸送 38,107 1.33%
トラックサービス 109,581 3.83%
自動車及び部品 116,476 4.07%
素材・建築物 金属・鉱業 47,930 1.67% 42.23%
化学 65,683 2.29%
建設資材 38,945 1.36%
資本財 555,848 19.42%
不動産管理・開発 500,680 17.49%
農業・食料・
林産物
飲料 20,406 0.71% 3.22%
農業 3,141 0.11%
加工食品・加工肉 44,050 1.54%
製紙・林業製品 24,443 0.85%
合計 1,653,309 57.75%
対象アセット あいち銀行の法人・個人事業主向け一般事業性融資
(リパッケージローンなどの政策的貸出除く)
対象残高 2025年3月末時点の融資残高
セクター分類方法 当社グループにおける業種分類を環境省が公表している日本標準産業分類と
TCFD18分類の紐づけ表により、TCFDが定義するセクター分類へ割り振り

GHG排出量(Scope3 カテゴリ15:ファイナンスド・エミッション)

当社グループでは、2023年度よりPCAFに厳密に準拠するパーセフォニ社が提供する炭素会計プラットフォームを活用し、ファイナンスド・エミッションの算定を行っています。2024年度は、従来の事業性融資に加え、保有する上場株式・社債を算定対象に含めることで、算定対象範囲を拡大しました。また、算定の網羅性を高めるため、データクオリティスコア5による算定を行ったことで、算定カバー率は100%となりました。なお、今回の算定結果は、お客さまによる開示の拡大や推計メソドロジーの進化、業種分類の変更などにより今後大きく変化する可能性があります。

  • 2024年度のGHG排出量については、第三者検証を受けています。

事業性融資(2024年度)

セクターScope1・2Scope3

算定
カバー率

GHG排出量
(tーCO2
DQ
スコア
GHG排出量
(tーCO2
DQ
スコア

エネルギー

石油・ガス 109,828 3.30 264,013 3.30 100%
石炭 6,253 4.00 1,537 4.00 100%
電力・ユーティリティ 81,552 2.87 505,693 2.87 100%

運輸

航空貨物 806 3.52 1,750 3.52 100%
旅客空輸 2,653 2.10 794 2.10 100%
海上輸送 18,720 3.74 20,046 3.74 100%
鉄道輸送 13,644 2.52 24,360 3.09 100%
トラックサービス 10,055 3.99 212,170 3.99 100%
自動車及び部品 53,362 2.83 677,737 3.02 100%

素材・
建築物

金属・鉱業 167,389 3.45 325,150 3.45 100%
化学 80,354 3.50 262,445 3.50 100%
建設資材 522,608 2.73 157,457 2.73 100%
資本財 286,515 3.89 2,545,730 3.89 100%
不動産管理・開発 20,408 4.05 184,493 4.05 100%

農業・食料・
林産物

飲料 6,285 3.35 29,731 3.35 100%
農業 6,347 4.03 23,014 4.03 100%
加工食品・加工肉 37,367 3.83 213,384 3.83 100%
製紙・林業製品 73,263 3.18 100,783 3.18 100%
その他 409,934 3.86 1,734,231 3.87 100%
合計 1,907,340 3.77 7,284,518 3.79 100%

上場株式・社債(2024年度)

セクターScope1・2Scope3

算定
カバー率

GHG排出量
(tーCO2
DQ
スコア
GHG排出量
(tーCO2
DQ
スコア

エネルギー

石油・ガス 21,299 1.00 290,988 1.00 100%
石炭 0 0 100%
電力・ユーティリティ 268,802 2.42 195,429 2.42 100%

運輸

航空貨物 0 0 100%
旅客空輸 3,381 1.00 720 1.00 100%
海上輸送 12,795 1.00 3,845 1.00 100%
鉄道輸送 1,953 3.72 4,602 3.72 100%
トラックサービス 1,831 2.11 7,441 2.58 100%
自動車及び部品 8,394 1.17 300,873 1.17 100%

素材・
建築物

金属・鉱業 66,212 2.33 136,352 2.33 100%
化学 40,395 1.57 98,164 1.57 100%
建設資材 21,024 2.02 39,945 2.02 100%
資本財 25,196 1.69 2,005,159 1.70 100%
不動産管理・開発 630 1.24 9,544 1.24 100%

農業・食料・
林産物

飲料 2,067 1.15 14,343 1.15 100%
農業 407 1.00 23,215 1.00 100%
加工食品・加工肉 4,617 2.24 32,900 2.24 100%
製紙・林業製品 6,821 1.56 7,712 1.56 100%
その他 35,548 2.48 377,913 2.48 100%
合計 521,372 2.14 3,549,145 2.15 100%
対象アセット
  • 事業性融資
    法人および個人事業主向け一般事業性融資(リパッケージローンなどの政策的貸出を除く)
  • 上場株式、社債(金融債、事業債、外国債を対象とし、リパッケージ債、私募債を除く)
対象残高 2025年3月末時点の投融資残高
データソース

排出量は企業開示データおよびCDPデータ、財務情報は社内データ、企業開示データを使用

算定方法
  • ファイナンスド・エミッション=各投融資先の排出量×帰属係数
    • 各投融資先の排出量
      各投融資先の開示値を使用、得られない場合は推計値を使用
    • 帰属係数
      投融資額÷(各投融資先の負債+資本)
算定カバー率
  • 事業性融資
    算定先の融資残高÷融資残高の合計
  • 上場株式、社債
    算定先の上場株式、社債÷上場株式、社債の合計

GHG排出量の第三者検証取得

当社グループでは、2024年度のGHG排出量Scope1〜3について、ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン株式会社による第三者検証を受けています。引き続き、算定方法の高度化・精緻化に取り組んでいきます。

サステナブルに関する投融資

当社グループでは、サステナブルに関する投融資を2022年度から2030年度までに累計1兆円(うち環境関連で5,000億円)実行することを目標に設定しています。