TCFD提言への取組み
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への取組み
当社では、2022年10月にTCFD提言に対する賛同表明を行い、気候変動による影響に関する情報開示を積極的に行っております。
TCFD提言に基づく「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に関する開示については以下のとおりです。
サステナビリティ推進体制
当社グループでは、気候変動や人的資本および多様性の確保への対応を含むサステナビリティへの取組みを経営の重要課題と捉え、2022年10月の当社グループ設立と同時にサステナビリティ方針の制定、TCFD提言への賛同表明を行いました。
また環境・社会・経済の持続可能性への配慮によりグループ全社のサステナビリティ向上を図り、中長期的な各種施策の実効性向上を図るためサステナビリティ委員会を設置いたしました。サステナビリティ委員会は、サステナビリティに係る重要事項についての戦略立案や、取組みにおける統括・進捗管理などを、主な協議、報告事項としています。
サステナビリティの取組みにおける統括・進捗管理などは、サステナビリティ委員会へ半期に1回以上、取締役会へ年1回以上の報告としています。重要事項については、取締役会、経営会議に付議し、意思決定を行っています。
ガバナンス
戦略・リスク管理
戦略
当社グループは、「サステナビリティ方針」を策定し、事業活動を通じ「持続可能な社会の実現」と「当社グループの持続的な成長」を目指しています。また環境・社会に対して影響を与えると考えられる特定の事業・セクターへの取組み姿勢を明確化するため、「持続可能な社会の実現に向けた投融資方針」を定めています。
当社グループでは、気候変動対応を重要課題(マテリアリティ)と捉え、不確実性の高い気候変動の影響を捉えるため、IEAの1.5℃シナリオ(NZEシナリオ)とIPCCの4℃シナリオ(RCP8.5シナリオ)を用いて機会とリスクを分析しています。
【シナリオ分析】
区分 | 内容 |
リスク カテゴリ |
シナリオ 影響の程度 |
時間軸 短期:2025年 長期:2050年 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
1.5℃ |
4℃超 | |||||
リ ス ク |
移行リスク |
GHG排出量が大きく気候変動の影響を受けやすい業種および当社グループの営業地域の主産業である製造業について、脱炭素社会への移行に伴う取引先の業績が変化するリスク |
信用リスク | 大 | 小 | 短期~長期 |
物理的リスク |
大規模風水被害等の発生による取引先の事業活動への影響や、担保資産の価値毀損 |
信用リスク | 中 | 大 | 短期~長期 | |
大規模風水被害等の発生による当社グループ営業拠点の被災 | オペレーショナルリスク | 中 | 大 | 短期~長期 | ||
機会 |
環境保全への取組を行う取引先に対し、ESGファイナンスを含む設備投資等の資金需要増加に対する金融仲介機能の発揮 |
ー | 大 | 小 | 短期~長期 | |
脱炭素化、環境保全への対応に課題を抱える取引先に対するコンサルティング機能の発揮 | ー | 大 | 小 | 短期~長期 |
リスク管理
気候変動リスクは、事業活動や財務内容に影響を及ぼす可能性があることを認識のうえ管理をしていきます。
具体的には、気候変動がもたらす当社グループ取引先の事業活動への影響および業況の変化等による信用リスクや当社グループ営業拠点の被災等によるオペレーショナルリスクを中心に管理を行い、必要に応じ、各種対策を講じていきます。
- 移行リスク
移行リスクの分析対象として、TCFD提言で気候変動の影響を受けやすいと指定される業種から、当社グループにおいて移行リスクの影響が大きいと考えられる「電力セクター」を選定しました。IEAの1.5℃シナリオを基にした炭素税の導入による費用増加が財務内容に与える影響を分析しました。2050年までを対象として試算した結果、与信コストへの影響額は、年間4億円程度の増加と推計されました。(2023年3月末基準)
- 物理的リスク
IPCCの4℃シナリオを参考に、洪水発生頻度の上昇を想定したうえで、浸水が想定される当社グループの営業拠点(ハザードマップ参照)の取引先の不動産担保毀損が与信コストに与える影響を分析しました。2050年までを対象期間とし、事業性与信先を対象に試算した結果、与信コストへの影響額は、累計12億円程度の増加と推計されました。(2023年3月末基準)
- 分析結果は、一定の前提条件の下で試算しています。
今回の前提条件での試算では、当社グループへの影響は限定的なものとなりましたが、分析手法を含む前提条件については、今後も継続的に見直しを行い、精緻化に努めていきます。
<持続可能な社会の実現に向けた投融資方針>
当社グループは、環境・社会に影響を与える可能性のある特定の事業・セクターへの投融資に関し、以下の取組方針に基づき、適切に対応することで持続可能な社会の実現に貢献していきます。
- 環境・社会にポジティブな影響を与える事業等に対する取組方針
- 脱炭素化社会の実現・省エネルギー・再生可能エネルギーに係る事業活動を積極的に支援します。
- 高齢化・少子化等の課題に対応する医療・福祉・教育の充実に係る事業活動を積極的に支援します。
- 事業承継、地域社会の発展に寄与する創業、イノベーション創業など持続的な社会形成にポジティブな影響を与える事業活動を積極的に支援します。
- 環境・社会にネガティブな影響を与える可能性が高い特定の事業・セクターに対する取組方針
- 石炭火力発電事業
石炭火力発電所の新規建設資金および温室効果ガスの増加に繋がる拡張案件の投融資は取り組みません。ただし、災害時対応や日本政府のエネルギー政策に沿った案件等を例外的に検討する場合は、慎重に対応します。 - 人権侵害・強制労働等に関する事業
国際的な人権基準(世界人権宣言、ビジネスと人権に関する指導原則等)の主旨に反する児童労働や強制労働など、人権侵害が行われている事業への投融資は取り組みません。 - 非人道兵器製造・開発事業
クラスター弾、核兵器、生物・化学兵器、対人地雷の製造・開発を行う企業への投融資は取り組みません。 - 森林伐採事業・パーム油農園開発事業
木材、パーム油等は日常生活や社会の維持に欠かせない重要な原料である一方、違法伐採などの大規模な森林破壊は気候変動や生態系へ重大な負の影響を及ぼす可能性を認識しています。環境および社会配慮の状況に十分注意したうえで慎重に対応します。
指標と目標
CO₂排出量削減目標(SCOPE1,2)
CO₂排出量の削減目標を‟2030年度には2013年度比70%削減”としました。
また、‟2050年度までのカーボンニュートラルを目指します。”
- 今後、愛知銀行の本店ビルや中京銀行で採用しているCO₂フリー電力を拡大していきます。
- 店舗の再編による拠点数減少によりCO₂排出量を削減します。
- 店舗建替え時の省エネ対策を実施します。(太陽光発電、遮熱ガラス・塗装、店舗のスリム化、省エネ素材の使用など)
- ガソリン車からハイブリッド車、EV車への切替えをしていきます。
(単位:t)
愛知銀行 | 2013年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|---|---|
SCOPE 1 | 258 | 477 | 460 | 463 | 412 | 497 |
SCOPE 2 | 5,603 | 4,261 | 3,788 | 3,510 | 2,901 | 2,443 |
(単位:t)
中京銀行 | 2013年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|---|---|
SCOPE 1 | 84 | 402 | 392 | 362 | 365 | 303 |
SCOPE 2 | 3,183 | 3,252 | 3,333 | 3,158 | 1,626 | 408 |
- SCOPE1(直接排出)ガソリン、ガス、軽油等
- SCOPE2(間接排出)電気
CO₂排出量(SCOPE3)
2022年度より算定対象にSCOPE3カテゴリ6・7を追加しました。なお、今回開示したカテゴリ6・7およびその他のカテゴリにつきましても、算出方法の高度化を進め、今後開示内容の充実を図ってまいります。
カテゴリ6(出張)
<従業員数に基づく算定方法および算定結果>
CO₂排出量=Σ(従業員数×排出原単位)
(単位:t-CO₂)
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
あいちFG | 508.3 | 497.0 | 486.5 | 450.8 |
カテゴリ7(雇用者の通勤)
<従業員数・営業日数に基づく算定方法および算定結果>
CO₂排出量=(勤務形態・都市階級別)Σ(従業員数×営業日数×排出原単位)
(単位:t-CO₂)
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
あいちFG | 1,160.0 | 1,143.0 | 1,110.5 | 1,016.9 |
【注】SCOPE3の算定方法、排出係数等は「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインVer2.4(環境省 経済産業省 2022年3月)」「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer3.2(環境省 経済産業省2022年3月)」より使用
サステナブルに関する投融資
サステナブルに関する投融資の目標:
2022年度から2030年度まで、累計1兆円を実行(うち環境関連で5,000億円実行)
これまでは愛知銀行、中京銀行それぞれにおいてサステナブルに関する投融資の目標を定めていましたが、今回新たにあいちフィナンシャルグループとしてサステナブルに関する投融資の目標を設定しました。